海外事情に明るく、米国との開戦にすごーく反対だった人、けれども、それでも戦わなければいけないのならと、真珠湾奇襲を企てて成功させた人、というのが、私の山本五十六に関して知っていることの全部でした。
本書には、そういう山本五十六が、人間として"どんな"人だったのかが描かれています。
軍神と奉られているけれども敵も多かった、博打が好きでまた上手かった、女性関係はこれこれこう、などなど、意外性も含めて、人間的な姿がとても興味深く面白かった。
巻末に記載されている、参考文献の量も大変なもので、著者はできるだけ、傾斜のないフラットな視点から山本五十六を描こうとしているように感じられました。
なぜそういう行動をとったのかという分析的な方向では無いからか、あれほど戦争に反対だった人の、開戦後の行動や思考については、心理的に掘り下げて書かれているわけではありません。
少し残念ではあるけれど、読む限り、もしかしたら、山本五十六は実はもう投げやりになっていて、死ぬことしか考えてなかったのかな、などと思いつつ読了しました。
それはそれとして、評伝としては、とても良く描かれていると思いました。海軍の、スノッブさ、軍人は政治に口出ししないなどの考え方、良くも悪くも伝統的に紳士的な部分、など非常に興味深かった。
直接山本五十六とは関係ありませんが、「手相・骨相」がこんなにも当たるのか?というのにはびっくりでした。
海軍の航空隊の訓練で、あまりにも事故が多く、兵士や高価な飛行機がどんどん犠牲になっていく。兵士がパイロットに適しているかどうかを見極めようと四苦八苦しているが、なんともうまく行かない。そんなところへ、手相・骨相を見る人を紹介されるのです。
そして8割以上の確率で、その人は兵士の成績を当ててしまう。のみならず、終戦がいつ頃だとか、南方戦線は今後どうなるかとか、ことごとく当ててしまう。この人が特別だったのかも知れないけれど、手相・骨相というものになんだか興味が湧いてきました。