2009年08月14日

「シャドウ」

久々のミステリ、初めて読む作家でした。
"本格"と呼ばれるもので、日本のものは、好みでないことが多いのですが、これはけっこう面白かったです。

うまく騙してくれます。騙されていたと気付いた時には、思わずページを戻って、どう書かれていたのか確認してしまいました。
気持ちよく騙される快感、久し振りでした。

裏表紙に書かれている内容紹介を読んでも、どんな話なのかさっぱりわからないし、ミステリっぽくないし、子供が主人公みたいだし、と買うときにはちょっとためらわれました。
けれど読後には、これは内容を紹介しようにも難しいだろうな、と。

子供が活躍して、読みやすいけれども、変な軽さや子供っぽさはありません。
たぶん、文章が整理されているからなのかな?
著者の他の作品も読んでみたくなりました。

シャドウ (創元推理文庫)シャドウ (創元推理文庫)

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「山本五十六」

海外事情に明るく、米国との開戦にすごーく反対だった人、けれども、それでも戦わなければいけないのならと、真珠湾奇襲を企てて成功させた人、というのが、私の山本五十六に関して知っていることの全部でした。

本書には、そういう山本五十六が、人間として"どんな"人だったのかが描かれています。
軍神と奉られているけれども敵も多かった、博打が好きでまた上手かった、女性関係はこれこれこう、などなど、意外性も含めて、人間的な姿がとても興味深く面白かった。
巻末に記載されている、参考文献の量も大変なもので、著者はできるだけ、傾斜のないフラットな視点から山本五十六を描こうとしているように感じられました。

なぜそういう行動をとったのかという分析的な方向では無いからか、あれほど戦争に反対だった人の、開戦後の行動や思考については、心理的に掘り下げて書かれているわけではありません。
少し残念ではあるけれど、読む限り、もしかしたら、山本五十六は実はもう投げやりになっていて、死ぬことしか考えてなかったのかな、などと思いつつ読了しました。
それはそれとして、評伝としては、とても良く描かれていると思いました。海軍の、スノッブさ、軍人は政治に口出ししないなどの考え方、良くも悪くも伝統的に紳士的な部分、など非常に興味深かった。

直接山本五十六とは関係ありませんが、「手相・骨相」がこんなにも当たるのか?というのにはびっくりでした。
海軍の航空隊の訓練で、あまりにも事故が多く、兵士や高価な飛行機がどんどん犠牲になっていく。兵士がパイロットに適しているかどうかを見極めようと四苦八苦しているが、なんともうまく行かない。そんなところへ、手相・骨相を見る人を紹介されるのです。
そして8割以上の確率で、その人は兵士の成績を当ててしまう。のみならず、終戦がいつ頃だとか、南方戦線は今後どうなるかとか、ことごとく当ててしまう。この人が特別だったのかも知れないけれど、手相・骨相というものになんだか興味が湧いてきました。

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「出雲の阿国」

歌舞伎の創始者だと言うことは知っていても、具体的にどんなもんだかよくわからない。そんなわけで手にとってみた本書、面白くて一気読みでした。

主人公の描かれ方が圧巻です。
女性が女性を描く醍醐味を充分味わえました。それは著者の得意分野でもあるでしょうけれど、調べつくし、考えつくしたからなのだろうと感じました。

秀吉の子を淀が産むあたりの時代は、有名で人気もあるし、大まかには知っているように思っている。そこへ戦国武将ではなく、阿国の視点が加わることで、また違った理解が自分の中にできて、それも面白かった。
淀と対決(?)する阿国には、あっぱれ!と手を叩きたくなります。

仕事と家庭の両立、または自分のやりたいことと恋との兼ね合いなどは、現代でも悩ましい問題だと思いますが、本書の中の阿国は、自分が何を求めているのか本能的にわかっていて、悲しみや淋しさはあっても変な迷いはないのです。
何かの創始者となってしまうような人は、こんな風なんだろうなぁと思わずにいられませんでした。

出雲の阿国 上 改版   中公文庫 あ 32-8出雲の阿国 上 改版 中公文庫 あ 32-8

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タグ:有吉佐和子
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