2011年04月24日

「検察側の証人」

久々のクリスティでした。
中学時代に凝って読み漁り、その反動で「もういいや」と言うウン十年を過ごしたのですが、短編はほとんど読んでいなかったのでした。
ミステリは長編(できれば重厚な)が好みなので、短編にはあまり手がのびないのです。

この短編集は、ミステリと言っても幻想的な話が多く、そのほとんどに精神病医や学者が出てきます。
幻想的な物話は、ちょっと的をはずしたなと感じることもしばしばなので、実はあまり期待せずに読み始めました。

しかし、面白いものは面白い。
あらためてクリスティの凄さを実感です。
話によっては、なんだか萩尾望都を思い出すような雰囲気のものもあったりして、ちょっと顔がにやけました。

タイトルを見るとすぐに内容が思い出せるような、味わい深いものばかり12編。
古い時代に書かれた本を読むと感じることが多いのですが、文章に無駄がないというか、さくさくしていて、けれども充分。短編だからでもあるでしょうが、だれることのない読書も久し振りだと言う感じがしました。

幻想的なものばかりではなく、本格的な謎解きものも入っています。
おすすめです。

検察側の証人 (創元推理文庫)検察側の証人 (創元推理文庫)
アガサ クリスティ Agatha Christie

東京創元社 2004-01
売り上げランキング : 448080

Amazonで詳しく見る
by G-Tools

「コッツウォルズでティールーム」― イギリスのお菓子に出合う

英国人が「こころのふるさと」と呼ぶ憧れのコッツウォルズで、ティールームを開いた著者が、その経緯や想いをレシピとともに綴った本です。

ティールームを開業するまでの話は、正直なところ特に惹かれるところはありませんでした。
けれど、コッツウォルズで暮らす地元の人たちとの交流を通しての部分、イギリス人が大切にしていることや、彼らにとってのお茶がどういったものなのかなどは、しみじみとしていて、わりと面白く読めました。

一番好きなのは、父と息子がお茶を飲む、というシーンが書かれているところ。
ただふたりでお茶を飲む。特別な会話もわくわくするイベントもおもちゃもゲームもないけれど、満ち足りた時間。
こういう時間を持つことができるって、良いなぁと。

印象的だったのは、現地の農家、ゲーリーさんが著者に語る言葉です。
「大地に敬意を」
「互いが互いを必要とする、その自然の掟を無視してはだめ」

世界一といわれる羊毛がコッツウォルズに富をもたらし、中世の裕福な商人達の富の証がこの町並みなのだと。羊の世話をすることが土地を守り、ゆくゆくは環境保護にもつながる。土地を健康にすることが何よりも大切なのだ。
という話なのですが、この素晴らしい循環は羨ましいというか、さすがというか、日本の田舎も(すでにやっておられるところもあるでしょうが)真似して、美しい日本をもっと残してほしい、と思ってしまいました。

お菓子のレシピも(写真も)載っています。
定番といわれるようなお菓子を、コルドン・ブルーで学んだ日本人である著者が作ったレシピですので、ちょっと興味深々。
英国一のティールームに選ばれた著者のお店のお菓子ですから、英国人も美味しいと感じているのですよね。休日にでもお菓子を作って、お茶を楽しみたいと思います。

コッツウォルズそのものや英国でティールームを開業する云々、という面では物足りないと思いますが、ちょっとしたエピソード付きのお菓子のレシピ集、という位置づけなら、まぁまぁの本ではないかと思います。

コッツウォルズでティールーム―イギリスのお菓子に出合うコッツウォルズでティールーム―イギリスのお菓子に出合う
宮脇 樹里

文化出版局 2008-11
売り上げランキング : 184631

Amazonで詳しく見る
by G-Tools

タグ:宮脇樹里
×

この広告は1年以上新しい記事の投稿がないブログに表示されております。