2011年05月20日

「空飛ぶタイヤ」

これは面白かったです。
時間が経つのも忘れて一気読みでした。

「空飛ぶタイヤ」は、三菱ふそうのタイヤ脱落事故やリコール隠しが下敷きになったフィクションです。
だから物語の行き着く先はわかるし、主人公が苦悩することも前提になってます。
それでも、すごーく面白い。

企業内部のあれこれ、銀行の動きなど、細かく書かれていることは大きい。
著者の銀行小説などもそうですが、こういった部分だけでも充分面白い。

ですが、最終的には、追い込まれてもめげず、正義を戦って勝ち取るという、主人公の生き方に共感できるから、こんなに面白いと感じるのだと思います。
こうあって欲しい、という部分が満たされるとでも言いますか。

一方、同じような人が大企業に入社し、何年もその中で過ごすうちに変わっていく。
そのエリートサラリーマンの描かれ方も面白かった。
こちらはそう深く掘り下げてあるわけじゃないですが、やはり苦悩はある。

例えば、電車の中で痴漢を見つけたら、助けるのはいっぱい乗っている良い背広を着た人でなく、外国人やスポーツコートのおっちゃん。
階段で転げ落ちそうになっている人に、自分の危ないのも省みずに手を差し伸べるのは、ガテン系のおにいさんだし、花火大会で幼児が人混みにつぶされそうになっている時、バリケードを作って保護しているのは、ガングロの女の子。

そういう場面にたびたび出くわすと、やはり何だか考えてしまいます。
賢い人は計算するし、危うきに近寄らない。
そういう人ばかりでもないとは思いますが。

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同じようなテイストで読める「下町ロケット」。
こっちも面白かった。
タイトルが示すとおりの爽快な小説です。

高い技術力を持ち、堅実な経営をしていながらも、大企業の下請けという立場の弱さから、倒産寸前に陥ってしまう。
資金繰りや、特許を巡る大企業との攻防はいつもながらの面白さですが、胸に迫ってくるのは、夢と現実の狭間で、自分の生き方を問う主人公の姿。

手が届くかもしれない夢が目の前にあり、それを選べば犠牲になるかもしれない重い現実もまた目の前にある。
夢のある話を堪能しつつ、仕事って何だろう?、働くってどういうことだろう?と考えずにはおれない一冊です。

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タグ:池井戸潤
posted by 八朔 | Comment(2) | TrackBack(0) | その他の小説 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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