2008年12月23日

「チャイルド44」

あまりにも評判が良いので、手に取らずにおれませんでした(^^;)。
ソ連の連続殺人犯である、チカチーロの事件を下敷きにしてありますが、今までのミステリにはない感じです。

何より、レーニン体制下のソ連、という設定が勝因だと思います。ソ連の警察機構のあり方や、そこで働く人々の感覚、そんな閉塞した社会で身を潜めて生きている一般の人々。
恐ろしいです。殺人事件の怖さや謎よりも、この体制の怖さが滲み出ていて、読む手が止まりませんでした。

主人公は国家保安省のエリート。
"理想の国家であるソビエト連邦には、殺人事件など存在しない"という、卒倒しそうな信条のもと、良い官僚として生きている。
そんな、ある意味純粋培養だった彼が、現実を直視せざるを得なくなり、封印していた過去を思い出し、また美しい彼の妻が、彼と結婚した本当の理由を知り・・・、という風に、プロットも練りこまれていてよくできていると思いました。

そして、こんなに閉塞した世界を描いておきながら、意外なことに読後感が悪くないのです。最後には再生と希望がちらりと見えるからなのですが、個人的には、そこへ至る主人公の変化を書ききってあるあたりに、著者の力を感じました。
ミステリでなくても良かったんじゃないか、という気がします。

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Tom Rob Smith 田口 俊樹

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