2009年11月20日

「花のれん」

「運命の人」が話題なので、つい山崎豊子が読みたくなりました。
著者のもうひとつの顔とでも言うべき、大阪船場を扱った物語です。

呉服屋へ嫁いで来たものの、夫は商売に身が入らず遊んで借金ばかり。内職までして支えるけれど、どうにも立ち行かなくなってしまう。
自分は商売に向かないからと全てを投げ出そうとする夫に、どうせなら夢中になっている寄席や芸事を仕事にしてはどうかと持ちかける。
非常に驚きました。
昔の「妻」は大変だ、とても真似できないと思いつつ読んでいたのですが、夫に愛想を尽かすどころか、その人の得意な分野を勧める粘り腰。私だったらきっと、さっさと見捨てて離婚してしまう。

女性起業家は今では多いけれど、日露戦争が終わった頃の、何事もなければ"普通の妻"で、それに満足していたであろう人が、実はこんなに気力や能力を秘めていた、というのがまた印象的でした。
寄席を始めたことをきっかけに、主人公はどんどん目覚めてゆきます。商売の仕方、発想、根性、圧倒されました。

個人的に本書のイチオシは、現代の小説ではなかなか嗅ぐことのできない香りが、濃厚に満ちているところ。時代の空気感や、大阪の商人、芸人の世界など、舞台背景が明治や昭和初期であっても、こういうのは、他ではあまり味わえません。

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タグ:山崎豊子
posted by 八朔 | Comment(0) | TrackBack(0) | その他の小説 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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