2010年01月24日

「竜馬がゆく」

大河ドラマを見ているうちに、つい読みたくなって再読。
最初に読んだのは20才前後でした。当時はただただ面白くて、熱に酔い時代に酔いましたが、今回は、龍馬の"不思議さ"が一番印象に残りました。

生れ落ちたのが、上士と下士の差が激しい土佐だった、生家はコテコテの武家でなく元は商家だった、勝海舟に出会った、などなど、いろんな要素はあるにしても、こんなに常識の枠の外を行くような人が出来上がるものだろうか?
いややはり、もって生まれた何か特別なものなのだとしか思えない。でも、そう考えるのは簡単すぎて、何だか勿体ないとでも言うか・・・。

何かテーマを決めて100人に企画を考えさせると、80人は似たようなものを出すそうです。では残り20人の中に、龍馬のような人がいるか?というと、まずいないと思われるのです。

文庫のあとがきに著者が書いておられる、龍馬が手帳に書き残したという言葉が興味深いです。
"薄情、不人情の道を忘れるな"、とか、"人がみな善を行うなら自分は悪をなせ"、など、懸命に悪人であろうとしている。
なんだか若者らしくもあるけれど、生来やさしく可愛らしい人だったのだろうと想像せずにおれません。

この物語は、大雑把に言えば青春物ですが、その熱と爽やかさ、時代の迫力を抜きにしても非常に刺激的でした。視点や発想について、感情と行動について、ガラにもなく考えてしまいます。

竜馬がゆく〈1〉 (文春文庫)竜馬がゆく〈1〉 (文春文庫)

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2009年09月14日

「ローマ亡き後の地中海世界」

「ローマ人の物語」は、老後の楽しみにとっておこう、と思っていたけれど、文庫が出たらやっぱり読んでしまった。
それで淋しい思いをしていたところでした。

本書は、古代ローマ滅亡後の、キリスト教世界へ進出してきたイスラム教徒との攻防を巡る話です。
中世とひと口に言っても長いですが、やはり十字軍や異端審問、南米への殖民と布教などが思い浮かんで、暗い恐ろしい印象があります。
しかしそのキリスト教徒たちも、イスラムの海賊にこんなにも苦しめられていたのかと驚きました。時代がどんどん移り変わっていく中、1800年代になってやっと、"禁止法"が実施されるのですから、とんでもなく長い!

この長い海賊との戦いを綴ってあるため、関係する各国の事情までは詳しく語られていません。イタリアはともかく、フランスやスペイン、イスラム側についても、もう一人か二人、塩野七生がいて、それぞれに書いてくれたなら、どんなに面白いだろうと思わずにいられません。

塩野七生はどうもクセになります。
いつもながら、読みやすさ、面白さ、そして著者独自の視点が新鮮です。

ローマ亡き後の地中海世界(上)ローマ亡き後の地中海世界(上)

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2009年08月14日

「出雲の阿国」

歌舞伎の創始者だと言うことは知っていても、具体的にどんなもんだかよくわからない。そんなわけで手にとってみた本書、面白くて一気読みでした。

主人公の描かれ方が圧巻です。
女性が女性を描く醍醐味を充分味わえました。それは著者の得意分野でもあるでしょうけれど、調べつくし、考えつくしたからなのだろうと感じました。

秀吉の子を淀が産むあたりの時代は、有名で人気もあるし、大まかには知っているように思っている。そこへ戦国武将ではなく、阿国の視点が加わることで、また違った理解が自分の中にできて、それも面白かった。
淀と対決(?)する阿国には、あっぱれ!と手を叩きたくなります。

仕事と家庭の両立、または自分のやりたいことと恋との兼ね合いなどは、現代でも悩ましい問題だと思いますが、本書の中の阿国は、自分が何を求めているのか本能的にわかっていて、悲しみや淋しさはあっても変な迷いはないのです。
何かの創始者となってしまうような人は、こんな風なんだろうなぁと思わずにいられませんでした。

出雲の阿国 上 改版   中公文庫 あ 32-8出雲の阿国 上 改版 中公文庫 あ 32-8

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2008年12月27日

「乱れ華」− 知らぬが半兵衛手控帖

一度読んでみたかったのです。で、図書館で予約しようとすると、どの著作も予約待ち。唯一すぐ読めたのが本書でした。
著者は、テレビの人気時代劇の脚本をたくさん書いておられて、そのラインナップを見ると、へー!と声をあげてしまうほど。小説の方も固定ファンが多いのですね。

読んでみると、なるほど〜。
小説を読んでいるというより、まさにテレビの時代劇を見ているようでした。
テレビのドラマ枠の時間内で、落ち着ける濃さ、とでも言うのか。人物の設定や配置、書き込む量などに、著者の技術を感じてしまいました。
そういう意味では、"小説"が好きな人には物足りないかも。

けれど、人情物なのに、ベタついたところがないのは、さすがのさじ加減なのかなと。主人公の半兵衛も肩の力が抜けた雰囲気でかっこ良いです。
この世界が好きな人は、クセになるんだと思います。
個人的には、ハマるほどではなかったかな。とは言え、別シリーズの"秋山久蔵もちょっとだけ体験してみたいような気もしています。

乱れ華―知らぬが半兵衛手控帖 (双葉文庫)乱れ華―知らぬが半兵衛手控帖 (双葉文庫)
藤井 邦夫

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2008年10月29日

「黄金旅風」

飯嶋和一、立て続けに読んでしまいました。
しかし、しかし・・・。
「黄金旅風」は、新作の「出星前夜」を読まないと完結しない話なんですかね?
なんだか尻切れトンボな感じがして、先に読んだ2冊でうっすらと感じていた「?」が増幅された感じです。

江戸寛永年間、長崎を守ろうとした男たちの物語です。
登場する人々はそれぞれ魅力的だし、幕府や近隣の藩の思惑、切支丹弾圧など、かなり心をつかまれるのですが、長崎の町民を守りたいと言う気持ちだけが前面に出ていて、ひとつの物語としては散漫な印象を受けました。
町の暮らしが生き生きと描かれていて、心に残る話だけに残念。

長編ではありますが、話が広がるというよりは、主人公の思いが熱く語られることにかなりのページが割かれています。その思いはもちろん、心に響く部分ではあるのですが、こんなに繰り返さなくても他に方法があったのでは?と、なんだかもったいなく感じました。

黄金旅風黄金旅風
飯嶋 和一

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2008年10月23日

「始祖鳥記」

うん、満足。飯嶋和一、大変面白かったです。
文章が難しいわけではないのに、最初はややとっつきにくい感じです。でも、描かれている世界がわかってくると、のめり込んでしまいました。

歴史上有名な人や政治の話じゃなくて、もっと違うのが読みたい、と思っていました。フィクションであっても、実在の、一般には知られていないけれど、すごい人や、特別な土地や、そこから見える時代の空気や・・・。
けれどきっと、資料を調べるにしろ、大変な作業なんでしょうね〜。
と、堪能しつつ思いました。

始祖鳥記 (小学館文庫)始祖鳥記 (小学館文庫)
飯嶋 和一

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↑江戸中期、"飛ぶこと"に魅せられた一人の天才的な男を軸に、大飢饉や幕府の専売制に立ち向かった人々が描かれています。
お勉強は苦手だったけれども、「天明」と聞くと「大飢饉」と出てくる。そんな時代に、なんとか活路を見出そうと、知恵を絞り勇気を奮った男たちがまぶしい小説でした。
今の時代だって、似たような部分があることに、どうしても考えが行って、こんな腹の据わった人は現代にいるだろうか?、自分は行動も起こせず、考えもつかず、野垂れ死にする一人なのだろうか?、と思わずにいられませんでした。

主人公の幸吉は、世のため人のために生きている男ではなく、ただその天才的な頭脳の故か、普通なら満ち足りた生活だと思うところを、檻に囚われたように感じてしまう、ある意味特殊な人かも知れません。
けれど、日常にあって感じる息苦しさや、子供の頃の見果てぬ夢を思う気持ちは誰しも一度は感じたことがあるはずで、そのあたりをつつかれます。生きることについて、もっと考えてみたくなりました。

神無き月十番目の夜 (小学館文庫)神無き月十番目の夜 (小学館文庫)
飯嶋 和一

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↑徳川家康が覇権を握った直後、とある山里の村が、丸ごと消滅させられていたという、恐ろしい物語。
「管理」という言葉をいやおう無く意識させられました。管理すること、されることに慣れた人々と、長いこと自治によって生きてきた人々との違いが克明に描かれていて、それだけでも薄ら寒いのに、管理するために、村ごと皆殺しにされてしまう。
時代物には、こういう惨さはよく出てきますが、壊滅させられる側の事情も、管理する側の人々もいちいち詳細に出てきて、なんともやりきれないのです。それだけに印象深い読書でした。

「始祖鳥記」でも感じたことですが、生まれや育ちから来る、秀でた能力が度々登場して、はっとさせられました。
海で働くべく育てられた子供、騎馬武者となるべくで育てられた子供、これは今で言うなら、子供の頃からスポーツの英才教育を受けたような感覚なのでしょうか?
日本中、どこへ行っても同じような町や暮らしの現代では、土地の特徴さえ、あまり残さずに大人になるのだなと、なんだか淋しく感じました。もちろん、それが悪いとは言えないのですが。
タグ:飯嶋和一
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2008年09月24日

「楊家将」

北方謙三の中国歴史もの、初めて読んでみました。
さすがは、ハードボイルドで人気を博したプロだ!、という面白い活劇に仕上がっていました。

10世紀末の中国、北漢の軍閥であった楊業が、宋に帰順し、北の大国、遼と戦う様を描いたものです。
伝説の英雄である、楊業とその7人の息子たちが、武家としての気概を守りつつ、熱い闘いを繰り広げます。"熱い闘い"という言葉を使いたくなるような物語なのです。

大きな歴史の流れや、時代の背景など、そういった面倒なことは忘れて、戦う男たちへの賛歌だと思って楽しんで読むのが良いと思います。史実が元になってはいるけれど、これは北方節なのですね。
戦いのシーンは気持ちよく、馬の駆け抜ける音が聞こえてくるようでした。

楊家将〈上〉 (PHP文庫) (PHP文庫)楊家将〈上〉 (PHP文庫) (PHP文庫)
北方 謙三

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2008年09月21日

陰陽師 「滝夜叉姫」

初めて「陰陽師」の原作を読んでみました。
漫画版が好きだったんですが、後半、独自の解釈へ流れていくので、原作はどういう展開なのだろうと気になっていたのです。が、展開というよりは、「ここちよいマンネリ」という状態なのかな?

それにしても岡野漫画は、この小説の持つ雰囲気を、びっくりするほど正確に伝えていたのですね。話の筋がきっちり同じなのはまだわかるとしても、漂う空気に違和感が感じられないのは驚きでした。

「滝夜叉姫」は、平将門の乱が題材になっています。
漫画版でも面白かったのは、こういう歴史の中の伝説がうまく取り入れられている部分。上下巻の長編なので、伏線からプロットまでしっかり組み立てられていて、歴史怪異ミステリとでも言う感じです。
楽しめました。

陰陽師 瀧夜叉姫 (上)陰陽師 瀧夜叉姫 (上)
夢枕 獏

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2006年07月02日

「ポンペイの四日間」

あの有名なポンペイの遺跡で何が起こったのかが、ハラハラする面白い小説になってます。
貴族も奴隷もいて、解放奴隷と呼ばれる自由になった人がいて、ガレー船が出てきて、剣闘士が出てきて。

でも、無理なく当時(紀元79年ですよ!)の人々の中に溶け込んでいけて、違和感がありません。
史実を小説にするとなると、いくら面倒臭く書いても書ききれないんじゃないかと思うけど、これが無理なく読めるんですよ。

特に火山の噴火は臨場感があって、危機が迫るとともに、ページをめくる手も早くなる、というあっという間の読書でした。ローマに興味がなくても面白く読めると思います。

ポンペイの四日間
ポンペイの四日間ロバート・ハリス 菊池 よしみ

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stars名前の判別に四苦八苦
stars国家規模の謀略をめぐる物語を得意としてきたハリスにしては、お話が小さいかも
stars絶品
starsローマ水道魂の炸裂、渋沢龍彦、小川一水ファンおすすめ
starsローマモノが好きな方に

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2006年05月01日

「真説宮本武蔵」

宮本武蔵って、ほんとはどういう人だったんだろう?と言うのが、読んだきっかけです。
歴史に出てくる人たちを、肌で感じることができるのが、著者の小説の面白さのひとつだと思いますが、本書は、武蔵をヒーローとして認識している人には、面白くないかも知れません。
膨大な資料の中から、あくまで冷静に、信頼できるものを著者の眼で選んだ結果、武蔵はちょっと奇妙な人として描かれています。

信長が死んだ頃に生まれ、漂白の生活の中で自己を鍛錬し、天才と呼ばれるほどの腕を持ち、なぜかいつも敗軍に参加しており、髪も切らず風呂にも入らず、異常にプライドが高く・・・。

ヒーローとしてはがっかりかもしれないけれど、人間としてはとても興味深い。
愛すべき人物として描かれていないだけに、武蔵の異質さが印象的な短編でした。

他に、武蔵と同時代、京の"兵法の家"を描いた「京の剣客」、幕末の剣客を描いた、「千葉周作」など3篇が収められています。
戦の耐えた江戸期、剣はどのように認識され、剣によって生きている人たちがどのような生涯を送ったのか、とても興味深かったです。

真説宮本武蔵
真説宮本武蔵司馬 遼太郎

おすすめ平均
stars史実の宮本武蔵の物語。
stars異人としての武蔵
stars「真説」の意味
stars剣の道に生きた者たちの物語
starsこれが司馬「武蔵」

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2006年01月28日

「豊臣家の人々」

秀吉の家族や親族が、秀吉の立身出世によってどう生きる羽目になったか、と言うようなことが、人物ごとの短編として綴られた本です。

寧々や茶々など秀吉の女達と、彼女らに育てられた子ども、秀吉の下へ人質として、また養子としてやってきた子どもなども、その数奇な人生が綴られています。
これはなかなか読み応えがありました。
いろんな意味で、面白かった。

秀吉の実家の人々に降りかかった境遇の変化も面白いのですが、そこに係わってくる秀吉その人や、家康などの人となりがまた面白い。
家康の酷薄なまでの政治的なものの見方や、同時代人を超越した秀吉の気配りの細やかさなど、国盗りの話とは直接係わらない部分が、詳細に出てくるのです。
また人には、タイプが色々合って、その知恵の回り方がどの方面へ向いているのか、また向いていないのか、というような部分はとても興味深かった。

権力争いや策謀がうずまく時代に生きた人々が、哀しさや可笑しさとともに生き生きと描かれています。
歴史上の人物は、何かその手がかりとなるものが残っていなければ、どのような人であったのかは後世の私たちにはわからない。

英雄の周りにいた人々でさえ、何も残っていなくて、わからないことが多い人もたくさんいるわけで、もっと知りたいけれど、知りようがないのだなと、なんだかもどかしいような虚しいような気持ちになってしまいました。
小説という形であれ、それをある程度知ることができるのは楽しみと言えると思います。

豊臣家の人々
豊臣家の人々司馬 遼太郎

おすすめ平均
stars豊臣家の人々
stars劇的な運命の中で生きる人々

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2006年01月11日

「大聖堂」

著者がケン・フォレットだと言うのと、養老猛さんが解説を書かれていたので読んでみました。
あっという間に、上中下巻3冊終っちゃいました!

何十年もの時間を、風俗、歴史、文化などなどをたっぷり楽しませてくれながら、ストーリーはものすごい勢いで展開していきます。
壮大で波乱万丈。ああ、物語というのは、こういうものなんだな、と言うワクワク感があるのです。

十二世紀イギリスが舞台です。
大聖堂を自らの力で建てたいと願う石工が、内乱に巻き込まれながらも夢を叶えようと切磋琢磨するのですが、とんでもないことが次々に起こります。
ストーリーをがっちり支えているのは、中世の生活の描写。修道院の組織や運営のされ方、石工など職人たちの仕事振り、貴族から農民まで人々の暮らしなど、とっても興味深く読みました。

この本を読んでいると、大聖堂の写真とか、設計図がどんなものだったかとか、当時の人々の服装とか、もう見たくて見たくてたまらなくなりました。
ときどきNHKで、「海外二時間ドラマ」やってますが、ついあれを思い出しました。映画でも良いけど、「モンテクリスト伯」だとか、「レ・ミゼラブル」みたいに、前後編のドラマで観てみたい。そんな小説でした。

大聖堂 (上)
大聖堂 (上)ケン・フォレット 矢野 浩三郎


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2005年10月17日

「玄鳥」

藤沢周平です。
「蝉しぐれ」が映画になりましたね。出来が気になるところです。

あの、切腹した父親を運ぶシーンは、映画にならなくても、網膜に焼き付いています。
それに、父親の遺体を引き取りに行った先での、現実的なシーン。
切腹が済むのを待つ家族、「立派な最期でした」的なことを伝えてくれる武士、縫い合わせた首の描写など、息を殺して読んだのを憶えています。

つい「蝉しぐれ」の話になってしまいましたが、この映画のCMを観るたびに藤沢病が出て、読みたくてたまらなくなっていたのでした。
気に入った作家があると、一気に読み倒してしまうので、藤沢周平ので読んでないのは少ないのです。その上、短編集はどれを読んだのか、自分でもよくわからなくなっており・・・。
まぁ、何度読んでもいいんですけどね。

それで、古本屋で見つけたのがこの「玄鳥」です。
下級武士の話、5編が収録されています。

印象的だったのは「無礼討ち」についての記述です。
無礼討ちをする方も、自分の命運を賭けている。なぜなら、充分な理由がなければ逆に処分を受けるし、失敗すれば切腹などの処罰が待っている。
なので、たとえ侮辱されたとしても、とっさにその辺のことを判断できるかどうかと、腕に自信がなければ刀は抜かないのだと言うのです。

人を殺すための道具をいつも身につけているのが、日常だというのは想像するしかないけれど、だからこそ身を律することが重要だったんだろうな、などと思いました。

江戸時代に生まれなくて良かったと思う反面、どこか、憧れに似た感情も動く。
秩序のある生活や、生き方の美しさや、そんなところに惹かれているのかなと思います。

玄鳥
4167192284藤沢 周平

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stars人間観
stars掌中の珠
starsひそやかな哀しみが胸をうつ武家物語

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蝉しぐれ
416719225X藤沢 周平

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starsなんだかもう胸がしめつけられる
stars時代小説を超えた感動
stars市井の人々の生き方が、ここにある
stars爽快!
stars藤沢文学の傑作

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タグ:藤沢周平
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2005年07月13日

「あかね空」

山本一力の、直木賞受賞作品です。
なんというか、普通に面白かった。特に感動したとか、すごかったとか、そういうのとは違うのですが、けっこう心に残っています。

話の展開やスピード、登場人物の造形や配置など、読み手に親切な設計とでも言うか、誰にも解り易く、話の成り行きを面白くするセオリーみたいなものが、きちんと踏まれている感じがしました。

が、個人的にはちょっと納得がいかない部分もありました。
主人公の妻となる"おふみ"が、長男を溺愛することが色んな不都合の原因となるのですが、その溺愛する理由が、説明されているんだけれど、ピンと来ない。
もっと、"おふみ"の生い立ちや性格、親との関係などじっくり書き込んで欲しかったような気がします。

あかね空
416767002X山本 一力

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stars感謝
stars時代小説ではなく家族小説として
stars家族の大切さを思った
starsおいしい本当の豆腐が食べたくなりました
starsすばらしい!

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2005年06月16日

「橋ものがたり」

実は、藤沢周平ファンです。
初めて藤沢さんの本に接したのが、この本だったと思います。
短編集なのですが、文字数以上に、たくさんたくさんの事柄が書き込まれているのです。

気付いたら、涙が出てました。
シンプルな話なのに、どーっと感動的な場面でもないのに。
このうまさはどうだろう?

確かに、藤沢さんの本には、日本人の好きな、ある種の叙情があると思います。
けれど、かなりドライです。
例えば演歌に時々あるような、湿って鼻につく叙情ではないのです。
この違いは大きい!

もうお亡くなりになったので、次回作が読めないのが、ほんとに哀しい。

橋ものがたり
4101247056藤沢 周平

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stars橋の両側にあるもの
stars情感あふれるタッチで市井の人々の姿を描いた本です
stars藤沢周平ファンのみならず、おすすめの一冊!
stars心の交差点でなにを思う?
starsいいなあ。

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