2009年12月20日

「庭木の自然風剪定」

こんな本を探していたんだ!という本でした。
雑木に魅力を感じる人は増えていると思うので、この本の目立たなさ(目立たないと思うのです)がもったいない。私はたまたま図書館で見つけました。

単純だけど永遠の課題、"どの枝を切って、どの枝を残すのか?"が、図解でわかりやすく載っています。読んだらすぐにも剪定したくなります。
樹形ごと庭木を分け、剪定のコツのようなものが凝縮して書いてある感じでしょうか。わしわし育って困るような株立ちの低木など、ああ、そうかと。

実用的なのですが、著者の感覚や考え方にも共感でき、なかなかお気に入りの本となりました。

庭木の自然風剪定庭木の自然風剪定

農山漁村文化協会 2001-03
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タグ:峰岸正樹

2009年12月11日

「堆肥のつくり方・使い方 − 原理から実際まで」

とてもとても参考になりました。
堆肥、ボカシ、土壌改良剤などなど、使ったり耳にしたりしていても、ぼんやりとしか理解していない、というのが現状でした。
この本を読んだから今日からバッチリ!とまでは言えない(これは私の個人的な問題で、本書の問題ではありません)けれど、もっと早く読むべきでした。

データも多くて写真も入っているし、構成自体、"わかりやすさ"を重視している印象です。
何でもそうですが、あまり突っ込むと専門的になりすぎて理解できない。かといって誰でも簡単にできるシリーズでは、知りたいことはわからない。そういう意味で、この本はよくできていると思います。

堆肥の水分量を測るのに、手で握ってみる方法がありますが、本書には、水分量50%だとこのくらい、55%だとこのくらい、というように写真入りで紹介されています。言葉だけよりも感覚的に理解できるので、親切だなぁと。
その他、堆肥作りの失敗例と原因、対策なども表になって載っています。

堆肥のつくり方・使い方―原理から実際まで堆肥のつくり方・使い方―原理から実際まで

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「それでも警官は微笑う」

ロングセラーで、何冊も続篇が出ていると言うので、つい読んでしまいました。面白くなかったとまでは言えないんだけど、心に残る作品ではありませんでした。

どちらかと言うと、テレビドラマのような感じに思えたかな。
小説特有の濃さや背景、心理などを楽しみたい方にはあまりおすすめしませんが、軽くパパッと楽しむには悪くないのかも知れません。

無骨な刑事とお坊ちゃん刑事、元は学者を目指していた麻薬取締官、などなど登場人物は凝っています。
無骨な刑事の無骨さ、お坊ちゃん刑事のお坊ちゃんさ加減も、それぞれに面白くないとは言わないけれど、どうも薄い。コメディタッチの良さもあるけれど、笑いが効いてくるほどには過去の悲しみが生かされていないような印象でした。
個人的には、無骨な刑事が、無骨なだけで有能に思えなかった。

それでも、警官は微笑う (講談社文庫)それでも、警官は微笑う (講談社文庫)

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タグ:日明恩

「罪深き海辺」

さすがはベテラン!という面白さでした。
ヒーローも舞台設定も、いつもとちょっと違うな、という感じ。
最初の数章では、謎や小競り合いは出てくるものの、事件らしい事件は起こりません。どちらかと言うと長閑な雰囲気ですすむのです。

それでも、引っかかることも飽きることも、面白いのかな?と不安になることもなく、どんどん読ませられてしまう。
なんでもない場面でも面白く読めるのですから、さすがは大沢在昌なのだと実感でした。

主人公も、肩に力が入っていないタイプで良い感じです。
この人をメインにした話、これからも続くのかな?とちょっと期待してしまう。
話も面白いですが、読後感も爽やかです。

罪深き海辺罪深き海辺

毎日新聞社 2009-07-23
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タグ:大沢在昌

「花紋」

山崎豊子も女性なのだなぁと、びっくりしつつ当たり前のことを感じた一冊でした。著者の作品の中では異色だと思います。

大正歌壇に短い期間だけ登場し、消息を絶った謎の多い美貌女性歌人の、宿命的な半生をたどったものです。
何から何まで激しく、濃い話でした。情熱、苦悶、因襲、憎しみ・・・。
何がと言って、主要登場人物の生き様そのものがすごいのです。創作とは言え、大正時代にはこういう心のあり方もあったのかも知れないと思うと、唸りたくなりました。

主人公は著者の創作で、実在の人物ではありません。こういう人物を作り上げ、ある種すれ違いドラマ的な筋に、大正時代の旧家のあり様や人々の愛憎を絡めるという、私が著者に持っていた印象とはだいぶ違う作品でした。
しかしそこは山崎豊子ですから、時代色は濃厚で記述は重厚。
好みから行けば、他の作品の方が好きですが、これはこれで充分楽しめました。

花紋 (新潮文庫 (や-5-7))花紋 (新潮文庫 (や-5-7))

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2009年11月20日

「ミレニアム」

スウェーデンのミステリだと言うだけで、ちょっと食指が動く今日この頃です。
ミレニアム3部作、一気に読みました。
好みから行けば、ヘニング・マンケルの方が好きだけど、読み始めたら止まらない面白さでした。誰もがそう思ってるでしょうが、著者がお亡くなりになったとは非常に残念。

主人公はジャーナリストですが、彼はある意味狂言回し的役割。
特にミレニアム2、3に描かれているのは、女性調査員リスベットと、彼女にまつわる謎です。特異な風貌、複雑な生い立ちと複雑な人間性、そして超人的な頭脳を持っているという設定で、知らず知らず彼女のことが気になってきます。
ミステリとしては、ミレニアム1が一番面白かったかな。けれど、登場人物の魅力にも引きずられ、内容もきな臭くなっていくので、2と3も止まりませんでした。

興味深いのは、スウェーデンでの女性の、被差別者、被害者としてのデータが、各章の扉の裏に書かれているところ。そのデータ自体面白いのですが、そういう事情をベースにおいて書かれたミステリなのかと思うと、新鮮でもありました。
"リスベットが出来上がるまで"、とでも言うか、彼女の生い立ちから来る人格や物の見方は、被害者以外の何者でもなく、その彼女に超人的な頭脳を持たせた設定は、心憎いような気がします。
とは言え、内容は全く堅苦しくなく、社会的なことなど考えず楽しめるエンタテインメントです。

ミレニアム1 ドラゴン・タトゥーの女 上ミレニアム1 ドラゴン・タトゥーの女 上
ヘレンハルメ美穂

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「花のれん」

「運命の人」が話題なので、つい山崎豊子が読みたくなりました。
著者のもうひとつの顔とでも言うべき、大阪船場を扱った物語です。

呉服屋へ嫁いで来たものの、夫は商売に身が入らず遊んで借金ばかり。内職までして支えるけれど、どうにも立ち行かなくなってしまう。
自分は商売に向かないからと全てを投げ出そうとする夫に、どうせなら夢中になっている寄席や芸事を仕事にしてはどうかと持ちかける。
非常に驚きました。
昔の「妻」は大変だ、とても真似できないと思いつつ読んでいたのですが、夫に愛想を尽かすどころか、その人の得意な分野を勧める粘り腰。私だったらきっと、さっさと見捨てて離婚してしまう。

女性起業家は今では多いけれど、日露戦争が終わった頃の、何事もなければ"普通の妻"で、それに満足していたであろう人が、実はこんなに気力や能力を秘めていた、というのがまた印象的でした。
寄席を始めたことをきっかけに、主人公はどんどん目覚めてゆきます。商売の仕方、発想、根性、圧倒されました。

個人的に本書のイチオシは、現代の小説ではなかなか嗅ぐことのできない香りが、濃厚に満ちているところ。時代の空気感や、大阪の商人、芸人の世界など、舞台背景が明治や昭和初期であっても、こういうのは、他ではあまり味わえません。

花のれん (新潮文庫)花のれん (新潮文庫)

新潮社 1961-08
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2009年10月27日

「山野草の庭つくり」

図書館で借りたのですが、これは買っておきたい!
新しい本ではありませんが、古さは感じられず、非常に実践的。
しかも、とてもわかりやすいんですよ。

植物は、自生地の環境にできるだけ近づけて育てるべきだ、とは知っていても、その自生地の具体的な気温や湿度など、ほんとうは良くわかっていないのだと、本書を読んで気付きました。

高山植物など、暑さ対策ばかりに目が行っていましたが、高山の夏の湿度は、東京の5倍だなんて、考えたこともありませんでした。
また、通風が大切だとは知っていても、なぜ大切なのか、本書を読むまで全然知りませんでした。

この手の本で一番メインの庭の作り方、各植物の特徴や育て方ももちろん詳しく載っています。
写真も多く、イラストもわかりやすいので、これはほんとうに参考になります。

四季を楽しむ 山野草の庭つくり四季を楽しむ 山野草の庭つくり

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2009年10月05日

「凍てついた墓碑銘」

うーん・・・。
"昼メロ"のような小説でした。
ロマンス小説は読まないのでよくわかりませんが、恋愛小説としても、ミステリとしても、もうひとつ、いやふたつ?な感じでした。

顔見知りばかりの田舎町で起こる殺人と、処理に当たった大人たちの不可解な行動、直後に起こる10代の若者の出奔。
この謎にはひっぱられるのですが、あまり意外でない結末。

最後に起こる殺人は、読者にはわかるけれど、登場人物がその詳細を知るには、かなりな捜査が行われた後だろうと思われる状態。
登場人物にも魅力を感じませんでした。

斜め読みで内容はわかるので、登場人物の、さして深みの無い心理描写をわざわざ読まなくても、伏線らしいものもなく。
そんなわけで、ガッツリとミステリが読みたい方にはおすすめできないかな〜。

凍てついた墓碑銘(ハヤカワ・ミステリ文庫)凍てついた墓碑銘(ハヤカワ・ミステリ文庫)
宇佐川晶子

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2009年09月21日

「『左利き』は天才? 利き手をめぐる脳と進化の謎」

なぜ左利きと右利きがいるのか?というのは、気になる人が多いんじゃないかと思いますが、本書を読んでも答えはわかりません。
要するに、まだ解明されていない、ということのようです。
サブタイトルに、"脳と進化の謎"とあるので、脳科学的な解答を期待してしまいますが、正直なところ、そういうワクワク感の味わえる本ではありませんでした。

本書は、左利きである著者があちこち旅をし、利き手をめぐる謎を追う、という内容です。
目次を見ると、「左利きの歴史」、「脳の仕組みと利き手」、「左利きは遺伝するのか?」等々、非常に興味深い章立てになっているのですが、エッセイ風なので、旅程などまで出てきて、ちょっと散漫な印象です。

それでも、右利きか左利きか、というよりは、極端な片手利きか両手使いに分ける方が適切だ、と言う解釈が出てきて、そこは新鮮でした。私は自分が右利きなのか左利きなのかよくわからないので、なんだかすっきりしました。

一番興味深かったのは、西洋での左利きの扱われ方です。
日本やインドでは、文化的に左利きは良くないものとされているのは知っていましたが、西洋でも忌み嫌われていたとは知りませんでした。
その辺の雑学的な部分は楽しめました。
知らなかった左利きに関する薀蓄を読むぐらいの気持ちだったら、それなりに楽しめるかも知れません。

「左利き」は天才?―利き手をめぐる脳と進化の謎「左利き」は天才?―利き手をめぐる脳と進化の謎
David Wolman

日本経済新聞社 2006-07
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